庭球の部室
□紅地獄 -クレナイジゴク-
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不二が手塚に思いを打ち明けたのは、
かれこれ1ヶ月程前になる。
――同性愛。
日本でも、
まだまだ理解されにくい恋愛である。
それも手塚家―由緒ある―生まれの
手塚国光には、耐え難かったのだろう。
必要以上に、徹底的に避け続け、
忌み嫌う素振りを見せる手塚。
不二は、そっと手首に巻いた包帯を解いて、
道に放った。
「手塚――…僕は、友達にも、
ライバルにもさせてもらえなくなったね
……分かってたけど……」
信号を無視し、車道に飛び出すその姿さえ、
不二は華麗であった。
キキ――ッッ―――……