庭球の部室

□紅地獄 -クレナイジゴク-
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「右手首が使えないので、練習できません」


「…なぜ、わざわざ右を切る?」




不二がリストカットをしている


原因張本人は、顔色さえも変えない。



初めてしたときからずっと。



ずっと何も感じないかのような、

無愛想な表情。





「君はボクが死んでも何も思わないんだね」



「リストカット8回目、

 それでもお前は生きている」



「明日死ぬかもよ?9回目こそは」



「ストレスの原因が減って丁度いい。


練習できないなら筋トレでもしてろ、

俺に近づくな」




あからさまな拒絶と、

嫌悪にあてられた不二は固まる。



「――ううん、今日は帰るよ。―――じゃ」
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