記念小説

□僕の喜びを君に
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 ***


 ケーキは甘くて、見た目以
 上に美味しかった。
 王子が俺のために作ってく
 れたのかと思うと、涙が溢
 れそうだった。
 だいぶ俺も、感情が表に出
 て来るようになった。
 余ったケーキは、ティアラ
 様にあげることにした。
 王子が少しそわそわしてい
 る。
 「王子…?」
 「スカイに、渡したいもの
 があるんだ」
 少し俯きながら、王子は笑
 う。
 「渡したいもの?」
 「うんっ。
 その…スカイが気に入って
 くれるかどうか、分からな
 いけれど」
 「いえ、王子がくださるも
 のなら、何でも嬉しいです
 よ」
 「本当にっ?」
 「本当です」
 王子の表情がみるみる明る
 くなっていく。
 「ありがとうスカイっ。
 じゃあ、少し待っててね!」
 俺の返事を聞く前に、王子
 は部屋から出て行ってしま
 った。


 ***


 うわあ、ドキドキする。
 今日のために、街まで出向
 いたんだ。


 喜んでくれるといいな。

 
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