記念小説

□僕の喜びを君に
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 ***


 「では、切り分けましょう
 か」
 ケーキにナイフを入れる。
 ケーキを切る瞬間、王子の
 キラキラした表情が見えた。
 王子の笑顔が、すごく眩し
 かった。


 「はい、どうぞ」
 切り分けたケーキを王子に
 渡す。
 「プレートも、どうぞ」
 「チョコはスカイにあげる
 よっ」
 王子が俺のケーキにプレー
 トを乗せる。
 小さなケーキが豪華になっ
 た。
 「あと、これもね」
 ビスケットで出来たネコが
 プレートの横に置かれた。
 チョコチップの瞳が、俺を
 見つめている。
 「では、これは王子に」
 残ったケーキの上に乗って
 いた、砂糖のウサギを王子
 のケーキに移す。
 赤いゼリーの瞳が、光に反
 射して輝いている。
 「はは、僕のケーキも豪華
 になっちゃった。
 スカイと同じだねっ」
 「俺だけ豪華なんて、恐縮
 ですからね。
 さあ、食べましょうか」
 「うんっ!」


 ***


 思ってた通りだ。
 スカイはすごく遠慮してる。
 だから、僕からビスケット
 あげてみた。
 そしたら、砂糖をくれた。


 スカイ、優しいなあ。


 君のことを見ていると、不
 思議と安心出来る。


 もう少しだけ、見ていたい
 な…。

 
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