番外編

□あいつの本気
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 逆襲班のような悪事を働く
 奴らに対抗するために作ら
 れた訓練所。
 さすが、様々なことに政府
 は力を入れている。
 ほぼ毎日のペースで訓練所
 には足を運んでいる。
 学園帰りだというディルカ
 をよく訓練所で見かける。
 あいつは本気で強くなりた
 いのだと知った。
 いろんな人の様々な思いが
 詰まった訓練所。
 今日はアギが目の前にいる。
 「お手合わせお願いします
 スカイ君」
 「お前から俺に頼んできた
 んだ、負け惜しみは無しだ」
 「僕もそのつもりですよぉ。
 スカイ君こそ、手を抜いた
 ら駄目ですよぉ」
 アギは銃を取り出し、俺に
 銃口を向けた。
 「怪我を負わすつもりはあ
 りませんが、かすり傷なら
 …大丈夫ですよねぇ?」
 「俺も切り傷ならいいか」
 「大丈夫ですよぉ」
 久しぶりに握った短刀に、
 俺は少し身震いを覚えた。
 何のためにこいつは俺とや
 り合いなんてするのか。
 せめて理由が分かれば、俺
 も本気で剣をぶつけること
 が出来るのに。


 アギの狙いはなんだ。


 「では、お手並み拝見と行
 きましょうかぁ。
 大丈夫ですよぉ、魔力は一
 切使いませんので」
 アギは銃のピストルを強く
 引いた。
 俺の髪を散らしながら、弾
 は壁に命中した。


 今、一歩も動けなかった。


 「スカイ君、大丈夫ですか
 ぁ?」
 「アギ、いきなり撃つとか
 は…」
 「言った筈ですよぉ。
 本気で向かってきて下さい。
 ボクが見たいのはスカイ君
 の本気の姿…。
 いつも王子さんに見せてい
 る君を、ボクに見せて下さ
 い」
 …そういう理由なのか。
 俺は短刀の柄を握り直した。

 
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