Gate of Blackness

□Lie-嘘と偽善者-
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***


「情報屋?」
しばらくしてから、部屋に王子が戻ってきた。
両手に大量の書類を持ちながら。
始めは書類が歩いて来たのかと思った。
書類の横から顔を出した王子は、にこっと笑った。
いつもの安心できる表情だ。
さっきの表情が嘘みたい。
「そうそうっ、政府が信頼を置く情報屋さんがいるんだよっ。
この書類は、今までに情報屋さんが政府に提出した情報なんだっ。
この中に逆襲班のことが書かれているらしいから、調べてみようか!」
無茶ぶりじゃないですか。
この山から、どう有力情報を調べろと。
王子が言うには、逆襲班とはまったく関係ない情報も混じっているという。
既に一番上なんて、逆襲班に関係ない。
「まあまあ、ちゃんと3人にも後で来るように言ってあるから大丈夫だよっ」
駆り出されていた。
結局あいつらの本当の任務が何なのか、今でも分からない。
確かに王子の側に入れば、いざという時にはいいかもしれないが。
俺からしたら、ただ遊んでいるようにしか見えない。
気がする。


数分後。
「来たぞスカーレット」
ドアの向こうから、ディルカを先頭にディルカの兄、ユリスとディルカの幼なじみ、アギの3人が顔を見せた。
彼らが俺と一緒に王子を守っている…いわゆる"番人"というやつ。
毎日のペースで王子や俺と行動し、護衛を行っている。
3人と王子はほぼ同い年だ。
「何なんですか、この書類は」
山積みになっている書類をまじまじと見つめながら、ユリスは王子に問う。
王子はあっけらかんと答えた。
「情報屋さんが調べた情報の数々だよっ。
今日はこの中から逆襲班についての有力情報を見つけ出すのが仕事!」
「この中からか?
5人でも大変だぞ、これ」
ディルカが落胆する。
「地道にやれば、何とかなるよぉ」
問題なさそうな表情を浮かべたアギが、書類に手を伸ばす。
「そうですね、逆襲班の情報を調べるのは必要事項ですから」
笑みを絶やすことなく、ユリスも書類を調べ始めた。
「よし、スカイは執事のお仕事ねっ!」
「えっ!?」
3人の声が綺麗に揃った。
「まだ仕事が残ってるんだ。
終わったら手伝いに来る」
「なんなんだよスカイ…始めは4人か」
「あははぁ、仕方ないよねぇ」
「一気に仕事が増えた気がします。
ですが、やらないと終わりませんから…頑張ります」
「頑張ろーねっ!」
王子のどこからこんな空元気が出るのか、俺達が疑問に思ったのは言うまでもない。
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