Gate of Blackness

□Lie-嘘と偽善者-
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「スカイっ」
仕事中に、王子が俺の裾をくいっと引っ張った。
俺は振り返る。
「明日は情報収集に行くよっ」
「情報収集とは、なんの?」
「逆襲班だよ」
いつもより控えめな笑顔。
「最近逆襲班に入っている人のほとんどが、政府の人間と関わりのある人だというのが分かったんだよ。
実際、インティゴはスカイの親友で、ウィル兄は僕の兄、あとアギの父親も逆襲班に入っている。
今まで僕達に牙を剥いた逆襲班の人間って、僕達のうち、誰かと関わりのある人だよね?」
いつもとは違う王子に、鳥肌が立った。


最近の彼に、俺は何故か違和感を覚える。


逆襲班の長である男、ロイド(ダアク)は、俺以外で儀式に関わった人全員の記憶は消している(第1章参照)。
だから、俺に烙印が付いていることは、王子に気付かれていないはずだ。
多分、ダアクと密かに会っているということも無いだろう。
あったら困る。
だが、俺のことを避けるような目で見ている王子に、俺は罪悪感を感じた。


やっぱり、何か知ってしまったのか。


冷や汗をかく。
俺の方をずっと上の空で見ていた王子は身体の向きを変え、ドアノブに手をかけた。
何かを思い出したのか、王子が振り返る。
少し疲れたような表情を浮かべた。
「今から仕事の書類持ってくるねっ」
「え、いや俺が持ちに行きますよ?」
「スカイは仕事続けてっ」
俺の返事を聞かずに、王子は勢いに任せてドアを閉めた。


ドアの向こうで、王子は息を切らせていた。
「どうしよう、スカイがすごく心配してたよ…っ。
何か誤解を招いたら…最近仕事疲れでなぁ、とか言ってる場合じゃないよっ!
次は普通に入って行こう、うん、そうしよっ!」
王子は笑みを零し、長い廊下を走って行った。
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