記念小説
□1日だけの魔法
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「いけませんね、玲さん」
スカイにいきなり言われた。
「何がよ」
「その格好ですよ。しっかり招待状に書いたはずですがね」
私は招待状を開く。服装についてのところを見るとそこには、ハロウィンに相応しい服装と書かれていた。私はいつものベストの制服のままである。
「ハロウィンパーティーなのですから王子も王子の友達も仮装をしていますよ」
仮装。そういうことか。しかし私はこれ以外に服を持っていない。
「でも私これしかないわ。それに王子達はそうでも貴方は仮装しないのかしら?」
「執事である私は遠慮しました。王子は着せようとしてくれましたが。玲さん、では服は城の服を使って下さい」
いつの間にか城の前に来ていた。城の中に入り、一つの扉の前で止まる。スカイは中を開けた。中には女中が2名程座っていた。
「まあスカイさん。スカイさんも仮装する気になられたのでございますか?」
「いや、王子が招待したお客様にハロウィンの服を選んでほしい」
いや、仮装なんて私もいいのに。女中の目が輝く。
「あら、なんて可愛らしい方なのでしょう!どうぞこちらへ」
私は無理矢理女中に引きずられるように中に入れられた。
「ちょっと、スカイ!」
「私は厨房でスイーツを作りますので。どうぞごゆっくり」
スカイはそう言うと同時に扉を瞬時に閉める。女中の手にはなんとも可愛らしい天使の衣装が握られており、嫌な予感がしていた。