記念小説

□1日だけの魔法
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ふと思い出したさっきの思い出は一体なんだったのだろうか。いや、思い出でもないのかもしれないが。
私は感情神の仕事を終えて長のもとでゆったりと過ごしていた。この時間の流れはとても貴重だ。天界に時間など存在しないが、いつもよりさらに緩やかに感じる。そこで私は疲れを癒やしていた。次はいつどこの世界に派遣されるか分からないのだから。
その時、手紙が私のもとに届いた。天使が私へ微笑みながら手紙を手渡す。見覚えのある装飾が施されている封を開くとハロウィンパーティーについてと綺麗な文字で書かれており、そこにはパーティーの要項が細やかに綴られていた。なんでこんなものが私に?そう思って差出人の名前を読むと懐かしい思い出が浮かび上がった。
王子、スカーレット。
あの優しい空間に戻りたい。この招待状が届いたのならまた行ってもいいのかな……。私は長の目を見た。長は優しく微笑んだ。

「全く、そろそろ仕事を頼もうとしていたところだったのだがお前に届いた招待状だろう?行って来なさい」

長は静かに異世界へのゲートを開けた。

「ありがとう」

私はそう言い、ゲートをくぐり抜ける。空間が歪んでいく感覚。耳が壊れそうだ。真っ暗なゲートの底には一筋の光が漏れている。光は徐々に私を包み込み、私は異世界の地へと降り立った。
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