番外編
□黒の不協和音
1ページ/7ページ
※病み、微グロ注意
いつかは俺の嘘もばれてしまう。
そう思った今日の夜。
衝動に駆られたのは、今から少し前のことだった。
王子の言葉に、何も言い返せなかった後悔と罪悪感が俺を襲った。
未熟者の自分が情けなくて小さく感じた。
ふと思った。
堕ちるよりも、転がる方が報われるのではないかと。
自分の過ちで誰かに被害が及ぶというのなら、俺が消えてしまえばいい。
だけど堕ちるだけではダメだ。
一瞬の痛みだけだとすぐに忘れてしまう。
だけど転がれば…先に何があったって、結末は同じ。
闇しか残っていない。
表情も感情も記憶も無い真っさらな俺に、何を求めるというのか。
見つめようとしなかった未来は、すぐ側にいる。
それを信じたくない。
見たくない。
今の俺こそが、完全な無だ。
何も考えられなくなった、ただの容器。