番外編
□黒の不協和音
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夢…か。
俺の夢は何だったかな。
そんなことを考えたことさえ無かったのに。
突然「将来の夢は何?」って聞かれても答えられない。
俺と同い年くらいの奴らは、皆思い思いの夢を抱いていた。
「学校の教師ですかね、私は」
「俺もはっきりとは決まってないけど、身体を動かせるような職に就けたら有り難いんだけどな」
「ボクは周りの人に言われてる通り、画家を目指すよぉ」
王子と俺は、黙っていた。
「僕は…王になるのかな?」
決められた職に就くしかない王子は、俺と違う意味で将来を考えていなかった。
俺の夢は、なんだろう。
「スカイの将来は…闇の中なのかな?」
俺は王子に目を向けた。
少し悲しそうな表情を、俺に向けて立っていた。
「大丈夫だよっ、スカイは僕の側にいてくれるから…ねっ?」
一瞬どきっとしたが、王子は笑いながら俺を見ていた。
冗談だとは分かっている。
なのに、心のどこかで王子の言葉が引っ掛かる。
俺に押し寄せる言葉の闇。
飲み込まれそうだ。
俺は王子の言葉を飲んだ。
直後、胸が熱くなった。