記念小説

□願うこと。
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「お正月なのに、元旦から散々だなあ…」
「お正月って何?」
「あれ、知らないの?」
「早坂さん、彼は私達とは違う世界の人ですよ。
世界が違えば文化も違います」
何故か楽しそうに柚介が言った。
香はまた表情を引き攣りながら、言葉を言い直す。


「んー…" A HAPPY NEW YEAR"って言えば分かるのかな?」


「ああ、分かったよっ!」
王子は納得して何度も頷く。
「僕達は明日っ」
香は驚いた表情を見せた。
「ねぇスカイ、時間早いけど年越ししようよっ!」
お正月は知らないけど、年越しという言葉は通じるんだ…と内心香は思った。


「年越しといえば、そちらの世界では何を召し上がりますか?」
ユリスは興味津々に柚介に聞く。
「一般的には"年越しそば"ですかね。
場所や地域によって異なりますよ」
「兄貴、"そば"って何なんだ…」
柚介は説明を加える。
「麺類です、パスタみたいな」
「年越しにパスタを食うのか…」
ディルカの浮かない表情。
「そちらは何を食べます?」
逆に柚介がユリスに聞く。
ユリスは間髪入れずに言った。


「シフォンケーキです」


香の表情が変わったのはまあ…言うまでもない。
「クリスマスの延長戦ですね」
柚介はおかしそうに笑っていた。
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