番外編

□白黒Noise
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 目の前に広がる薔薇の数々。
 ウィルは思わず溜息をつい
 た。
 「凄い、凄いよアギ君!
 君にはやはり絵の才能があ
 るんだよ!」
 「いえいえ。
 いつでも描きに来ますから
 ねぇ」
 アギは画材を片付けながら、
 微笑んだ。
 ウィルはアギが描いた薔薇
 の絵を、大切に抱いた。


 「今回も特別無料にしてお
 きますからねぇ」
 絵を描いて売るアギは、毎
 回ウィルに対してお金を貰
 おうとはしない。
 「だって、ウィル様くらい
 薔薇を大切に思っている人
 なんてなかなかいないので、
 感動してしまってぇ」
 「大袈裟だよ。
 …やっぱり、ちゃんと払わ
 ないとダメ。
 だから本当に…」
 「絵はボクが好きで描いて
 いるので、貰ってくれて大
 丈夫ですよぉ。
 その方が、絵も喜んでくれ
 ると思いますねぇ」
 アギは画材を片付け、にっ
 こりと微笑んだ。
 ウィルもつられてはにかむ。
 「将来はいい画家さんにな
 れるよアギ君」
 「えへへぇ、そうですかぁ?
 ウィル様のお墨付きなら、
 大丈夫ですねぇ」
 「うん、またお願いするね」
 「はい、任せて下さいねぇ」
 アギは大きな扉を開け、そ
 の場を後にした。

 
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