Gate of Blackness

□Marionnette-操り人形の約束-
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「ねぇスカイ」
突然呼ばれ、声がした方に目を向けると、王子が目をぱちぱちさせて立っていた。
「さっき僕が言ったこと、聞いてたっ?」
「え、あ…すみません」
「スカイって、時々ぼーっとしてるよね。
大丈夫?」
王子は低い身長をつま先で支え、俺の頭を撫でてくれた。
「えへへ。
いつもスカイが僕にするから、僕もやってみたかったんだよねっ♪」
頭から王子の手が離れていく。
温もりが残るのを感じる。
「で、さっきの話なんだけど。
ディルカから連絡があってね、今からディルカの家に来てほしいって」
王子は楽しそうに話している。
「僕、ディルカの家に行ったことないんだよねっ!」
初訪問。


しかし、何故ディルカから連絡が…。
いつもなら城に出向いて来るというのに。
「ディルカの家ならお母様も安心だって!」
王子のお母様はこの世界の王の妻に値する人、名をティアラ様という。
確かに知らない地に行くより、知り合いの家に行く方が安全だ。
「よしスカイ、準備が出来たら出発だよっ!」
敵が現れたら嫌だ、と思ってる俺とは裏腹に、友達と遊ぶ感覚でいる王子に俺は目眩を感じた。


妙だな…何か嫌な感じがする。
最近すごい強く感じる。
一体何なんだ。
俺のタイムリミットが近いということか…?
まだ俺は欠片くらいにしか、記憶や情報を入手していないというのに。
本当、時が経つのは残酷なくらい早いんだ。
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