Gate of Blackness

□Marionnette-操り人形の約束-
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第1章ー宝物の消失ー


澄み渡った冬空。
外には銀色の世界が広がっている。
この世界の王子、スカーレットは、幼い子のようにはしゃいでいた。
「今年もたくさん積もったね」
王子の隣で暖かい紅茶を注ぐ俺、スカイは手を止め、窓の外を眺めた。
「ええ。
また雪合戦でもしますか?」
「だねっ!
今年こそ、打倒ディルカだよ」
目を爛々と輝かせながら、王子は冬景色を見ていた。
16だというのに見事な純粋さ。
数多くの人が、この純粋さに魅了されたことだろう。


先日、この世界では王政府に反する組織、逆襲班に敗北した。
その時に見た逆襲班の長、ダアクことロイド:フィリップスに、俺は逆襲班の長にされてしまった。
ダアク率いる逆襲班は、裏で活動している輩。
存在自体が闇に包まれ、対抗している政府も、いまだに正体を掴めずにいた。
逆襲班の長の証として、俺の胸に焼き付けられた漆黒の烙印。
この烙印を見る度、絶望感や罪悪感で俺の心は蝕まれそうになる。
しかし、この大虐殺事件を知る者は俺と逆襲班にしかいない。
記憶を消し去られたからだ。
だから、俺は誰にも真実を話せないでいる。


逆襲班の大虐殺の後、頻繁に逆襲班がこの地に現れるようになった。
現れる人々は、俺にとって切っても切れないくらいの人たちだった。
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