Gate of Blackness

□Solitudeー孤独な黒薔薇ー
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午後。
王子の自室にて、ティータイムが行われていた。
兄弟2人だけの、少し寂しいお茶会。
「外に出たいとか、スカーレットは考えたことない?」
ウィルは王子に吹っかける。
「ないよ。
お母様がいけないと言ったら、いけないことなんだよっ」
本当に純粋過ぎて悪戯してしまいたいくらいだ。
ウィルは更に質問を重ねる。
「じゃあ…逆襲班が来て、スカーレットに外に出ようよって誘って来たらどうする?
お母様には絶対見つからない状況だとしたら?」
王子がどのくらい純粋なのかがすごく気になる。
ウィルは真剣な眼差しを王子に向ける。
何も気付いていない王子は、きょとんとした表情を浮かべながら、あっさり答えた。
「それでも行かないよ。
逆襲班には絶対ついていってはダメなんだ。
勿論、仲良くなってもダメなんだ」
彼はお母様の言葉や政府の言葉に、絶対服従のようだ。
自分に自由が無かろうが、好奇心に誘われることなく、自分自身を貫く。


意外にしっかりしている。


ウィルは顎に手をやりながら考える。
どうしたら王子の心を動かすことが出来るのか。
「じゃあ…スカーレットの趣味は?」
「薔薇を育てること!」
「…薔薇限定、なのかな?」
「そうだよ。
薔薇以外は興味ないからっ」
「なんでスカーレットは薔薇が好きなの?」
「ウィル兄が好きだからっ」
…僕が薔薇の使い手じゃなかったら、スカーレットは薔薇を好きになってはいないんだ。
ウィルは内心そう思いながら、王子を見つめた。
相変わらず天使みたいに柔らかく輝いているような笑みを零しながら、王子はウィルを見ていた。
ウィルは何故か目眩がした。
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