Gate of Blackness

□Solitudeー孤独な黒薔薇ー
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「たまには僕が料理してみようかな」
ウィルはフライパン片手に厨房に立った。
使いたちの心配を振り切り、軽く意地を張りながら火をつける。
「ウィル兄って料理何が作れるのっ?」
「まあ見ていてくれるかな?」
少しぎこちない動きで、ウィルはフライパンに卵を落とす。
「卵料理しかできないんだよ」
苦笑しながら、ウィルは手を動かす。
あくまでも王子は常に笑顔だ。
ぎこちない動きをしているウィルを見ていても、心配することなく満面な笑みを浮かべていた。


「よし。
出来たよスカーレット」
ウィルは机の上に白いシーツを引き、中央に花瓶を置いた。
「これで精一杯…ごめんねスカーレット」
「何で謝るのウィル兄?
すごく上手だよっ」
机の上には色鮮やかなオムレツが乗っている。
「ウィル兄は料理上手だよっ」
「うん…ありがとう」
ウィルは優しく王子の頭を撫でた。
何でスカーレットは16という反抗期の歳にして、こんなにも純粋なのだろうか…と、ウィルは考える。
精神年齢がやや幼い王子は、笑顔でオムレツを食べている。
「…ウィル兄どうかした?」
「いや、何でもないよ」
ウィルは自分が作ったオムレツを掬った。
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