Gate of Blackness
□Solitudeー孤独な黒薔薇ー
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その晩。
スカーレットが寝たのを確認して、ウィルは城を後にした。
もうスカーレットには今までみたいに触れられないから。
だから、かける言葉が見つからなかった。
自分勝手な判断に唇を噛む。
門を出たところで、インティゴとリイルがウィルを待っていた。
「最後の別れは済んだか、ウィル」
「まあね。
…でも、この別れは最後じゃない」
「次も会いに来るつもりなの?
だけど王子様が可哀相だと思うよ、リっちゃんは」
「リイル、言葉が余分だよ。
…まあ、ウィルが来れるときにまた来たらいいよ」
インティゴは城に背を向け、歩き出した。
リイルが小走りでついていく。
ウィルも背を向ける。
進み始めた足を止め、振り返る。
王子が手を振ってくれている…はずがない。
インティゴも振り返る。
「ウィル、置いていくぞ」
「うん…ごめん」
肌寒い夜中、満天の星と月明かりが3人を照らしている。
夜だというのに暗闇という景色は無く、幻想的な景色が広がっている。
そんなことに気付かない3人は、仰ぐことなくまた闇の中へと身を潜める。
迷いのない足取りで。
「次はいつ会えるかな」
「お前が会うと決めた日だといいな」
「そうだね」
fin.