番外編
□親友と呼べる奴
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ざざざざざ…。
雨が窓にたたき付く。
世界的にも珍しい豪雨の夜
だった。
この世界の王子:スカーレッ
トは雨なのに関わらず、傘
をさしながら薔薇の世話を
していた。
小さな肩に雨が当たってい
るのもお構いなしに、王子
は必死に袋を被せていた。
まるで、大事な子供を守る
母親のように。
俺は黙って王子の様子を見
ていた。
今は1人にしておいて欲し
いと言わんばかりの背中を、
ただただ見つめるしか出来
なかった。
片手に閉じた傘を持ちなが
ら、俺は王子の様子を伺う。
何かあったら俺の責任だと
分かっている。
…なのに、俺:スカイは何も
出来ずに立ち尽くしていた。
虚しくも苦い日だ。
しばらくして、王子がびし
ょびしょに身体を濡らしな
がら帰ってきた。
俺は急いで身体を拭いてあ
げる。
帰ってきた王子は浮かなく、
悲しそうな、憂鬱そうな顔
をしていた。
俺はかける言葉が見付から
ず、王子の命令に従うしか
無かった。
…多分、原因は俺だろうな。