番外編

□親友と呼べる奴
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 「親友ってさ、ただ単に仲
 がいいだけじゃなくて、仲
 が良くて信頼がお互いに出
 来る関係を指すんじゃない
 か?」
 インティゴは腕を組みなが
 ら、俺の隣を歩く。
 「親友くらいだろ、悩みを
 打ち明けられたり、一緒に
 楽しんだりできるのは。
 お互いのことを心配して、
 心配させるのも親友だと思
 うけどな」
 俺はインティゴの言葉を横
 で聞きながら、歩き続ける。
 親友のことなんて、深く考
 えたことがなかった。
 「スカイはどう思うんだ?」
 話を振られ、俺はインティ
 ゴと目線を合わせた。
 対立した時とは違う、生き
 生きと先を見据えるような
 目をしている。
 俺は目を逸らす。
 「俺は、親友なんていうも
 のを深く考えられない。
 だけどインティゴの言う通
 り、信頼し合えるのが親友
 だと思う」
 「相変わらずクールだな、
 お前。
 だけど、昔から考えること
 は同じだな」
 昔はインティゴと同じ意見
 を出していたのか、俺は。
 俺は何も言わずにただひた
 すら歩く。
 「けど王子の大切な人って、
 親友というわけでもないん
 だろう?」
 「分からない」
 どんな人なのかさえ、検討
 もつかない。
 けど、身内の人間だとは言
 っていた。
 「それって、従兄弟とか親
 戚とかそういう類なのか?」
 「さあ、どうだろうな」


 しばらく沈黙が続き、城の
 近くまで帰ってきた。
 インティゴは立ち止まる。
 「オレはもう戻るよ。
 スカイと仲良くしていたら、
 怒られるしな」
 そうか、ダアクはそんなに
 酷い奴なのか、会話くらい
 で。
 「オレが余計なことを口走
 らないようにする為だよ。
 だから、スカイの力になる
 こともままならない。
 …ごめんな」
 「謝る必要なんてない」
 「そう…か。
 じゃあ、オレは行くよ」
 インティゴは片手を挙げな
 がら、俺に背を向ける。
 「待て。
 お前は俺のこと、どう思っ
 ているんだ」
 インティゴは立ち止まり、
 振り返る。


 「古くからの親友で、オレ
 の監視対象者」


 無邪気な笑みを零しながら、
 インティゴは姿を消して行
 った。

 
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