番外編

□親友と呼べる奴
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 次の日。
 俺は買い出しの為に城下街
 へと足を運んだ。
 たくさんの店が建ち並び、
 賑やかな風景が広がってい
 る。
 季節は紅葉、鮮やかな葉が
 道端を染めていた。
 「おや、スカイ君ではあり
 ませんか」
 店先でほうきを持ったユリ
 スが俺に話し掛けてきた。
 「こんなところで何をされ
 ているのですか?」
 「買い出しにな。
 お前こそほうきを持って、
 何をしているんだ」
 「両親の手伝いで店の掃除
 ですよ。
 中にディルカもいますから、
 寄って行きます?」
 ムーンドロップ兄弟の自宅
 は小さなカフェ。
 人気があるらしく、店の中
 は満員だった。
 「席を用意しますよ?」
 「いや、仕事中だから寄れ
 ない。
 今度王子を連れてくる」
 「では、とびきりのおもて
 なしをして、お待ちしてい
 ますね」
 俺はユリスと別れた。


 紅い葉が俺の前を散る。
 紙袋を抱えたまま、俺は葉
 が落ちていく姿を眺めてい
 た。
 「スカイ、早く帰らないと
 王子が待っているんじゃな
 いのか?」
 俺は声がしたほうに目線を
 向ける。
 相変わらず髪の跳ねている
 インティゴが、珍しくイヤ
 ホンを取りながら立ってい
 た。
 「インティゴ…予想はつく
 が、何故ここに」
 「察した通り、お前の監視
 だよ」
 「だろうな。
 どこまでついて来るんだ」
 「長から次の命令が下るま
 で」
 俺の隣をインティゴが並ん
 で歩く。
 「リイルはどうした」
 「あいつなら違う仕事に回
 ってるよ。
 常に一緒というわけでもな
 いからね」
 インティゴは目を細め、遠
 くを眺めていた。
 俺は紙袋を少し強く握った。
 「なあインティゴ、大切な
 人って…どんなだ」
 「何だよいきなり。
 …らしくないな」
 「ちょっと今日、王子を悲
 しませたから」
 インティゴは苦笑いを浮か
 べながら、俺の表情を伺っ
 ている。
 「じゃあ…少し話ながら歩
 こうか」

 
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