番外編

□親友と呼べる奴
3ページ/7ページ



 前回、親友インティゴとの
 再会を果たした俺は、複雑
 な気持ちになっていた。
 まず、インティゴは俺の親
 友かどうかという根本的な
 警戒をしていた。
 記憶がない俺にしてみれば、
 相手がどんな人かも分から
 ない。
 口実を述べているだけの奴
 かもしれないし、本当に知
 人なのかもしれないし。
 インティゴに関しては嘘を
 述べているようには見えな
 かったから、あいつは親友
 だと知った。
 そんな親友との再会を目撃
 した王子は、自分も大切な
 人と会いたいと直感的に思
 ったのだろう。
 「スカイみたいに突然…偶
 然出会うみたいな。
 いや、必然的に出会うみたいな。
 …上手く言えないけど」
 王子らしくない口ごもった
 発言。
 俺はカップを片付ける為、
 部屋を後にしようとした。
 王子が何故かついて来る。
 「今日はスカイの近くにい
 たいの、いいよね?」


 仕事をしている間、王子は
 黙って俺の姿を眺めていた。
 仕事中には感じない視線に
 どぎまぎしつつ、俺は城中
 を駆け回る。
 その後を王子が鳥の子のよ
 うについて来る。
 「王子、仕事が終わったら
 側にいてあげますから…」
 あまり言いたくない王子を
 突き放す言葉。
 悲しそうな表情をする王子
 を想像したくないから、見
 たくないから。
 「お願い、今だけでいいか
 ら」
 裾を握っているのが分かる。
 俺は黙って歩いた。

 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ