Gate of Blackness

□Blindness-映らない瞳-
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***


俺の自室にヘルパーが電話を持って突然入ってきた。
慌てているようなそぶりは無かったが。
電話を王子に渡すと、ヘルパーはまた元の仕事へと戻っていった。
にしても、朝から電話がかかってくるとは。
相手は一体。
「もしもし…あ、お母様」
電話の相手はティアラ様だったようだ。
王政府ヴィエラの長の妻、ティアラ様。
王じゃないからあまり用件は厳しくないだろう。
ダアクの一件で王から電話がかかって来たことがあったからな…。


先日、俺は初めて政府と対立している逆襲班マリスの長ど対面した。
ロイド:フィリップスという男…通称「ダアク」。
逆襲班マリスの長のことをダアクと指すらしいが。
俺は胸に手を当てる。
服の上からではわかりにくいが、何となく肌触りが違う。
もしシャツとか着ていたら漆黒の烙印が見えてしまう。


いつかはきっと知られることなのに。
今の俺は、知られることに恐怖を抱いていた。


見るたびに暗闇を連想させるような漆黒の烙印。
いかにもって感じな模様。
今気付いたが、この烙印をよく見ると、俺が左耳につけている十字架のピアスとデザインが一致する。


俺がここに養子として住み込みを始めた日に、ティアラ様から執事の証だと聞かされて頂いたもの。
ピアスなのに片方しかないのに違和感を覚えたが、俺は気にしなかった。
この十字架といえば…ダアクが胸に付けていたブローチ…あれも同じような十字架だった。


まるで…初めから俺は必然的にダアクに導かれているような。
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