Gate of Blackness

□Blackness-闇からの招待状-
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第1章-闇からの招待状ー


朝だ。
太陽の光が窓から優しく俺を包み込む。
暖かな春の陽気。
俺はベッドから起き上がり、着替えを済ませて自室を後にした。

にしても、俺はまた“あの夢”を見ていたようだ。
雨が降る中、真っ暗な部屋にひとり、うずくまっている夢。
あの夢を見るたびに胸が締め付けられるような感覚に陥る。

あんな夢はもう見たくない。

しかし夢なんてどうにもならない。
気持ちを切り替えようと俺は頭を振った。


長い長い廊下をひたすら歩くと、ひとつの大きな扉の前にたどり着いた。
俺は扉をノックする。
「はぁい」
何とも可愛らしい声が扉の向こうから聞こえてきた。
返事を確認し、俺は扉を開いた。
扉の向こうに立っていたのは俺の大切な人、もといこの世界の王子様。
寝起きだからか、いつも以上に可愛いアホ毛がぴんと立っている。
16歳とは思えないくらいの幼い表情がなんとも愛くるしい。
「おはようスカイ。
 今日も良いお天気だね。
 今日は何をするの?
 またアギのところに行って写生でもする?
 それともユリスに料理を習う?」
「おはようございます王子。
 遊ぶことを考えるのも結構ですが、まずは着替えましょう。
 それから考えてください」
 「スカイってば冷たいなあ。
 僕、泣いちゃうかもしれないよ?」
 「そのときは慰めてあげますから、早く着替えてください」
 「はぁーい」
 王子は頬を膨らませながらクローゼットの戸を開けた。

 
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