死神ゴッズ

□TURN2
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「あれ、アウロン。
今日は非番じゃないの?」


今日の17時に提出しなければいけない記事を書いているカーリー。
彼女は自分と同居していて、セキュリティに勤めている弟を凝視した。


「非番だよ。
ただフィーネちゃんのところに行くだけ。」


「え〜〜?
どうして?
あ、もしかして何か事件でもあるんじゃないの?」


「今のところ、事件は起こってないから安心して!!
変な夢を見たから、それについて相談しに良くだけ。」


最初は純粋に疑問に思っていたカーリー。
だが記者としての勘とやらが働いたのか、カーリーは面白そうにニヤつく。
そんな姉にアウロンは大声で否定した。
カーリーに近所迷惑!!と言われても関係ない。


「夢?
あ、まさかまた予知夢!?」


「だから、それがまだハッキリしないから行くんだって。」


ダークシグナーとの戦いで目覚めてしまった自分の力。
未来を予言する力はこのように夢に現れる。
そのことを踏まえると、あの夢はほぼ間違いなく予知夢だろう。


「(あの絶望に満ちた世界……)」


自分にとってあのような夢を見るのは苦痛だ。
誰だって悪夢は見たくないはずだ。
だがアウロンはこの力を苦とは思っているが、嫌なわけではない。
予知夢を見ることで未来を見透かし、その未来を救うことが出来る。


「じゃあ、行ってきます!!」


「頑張ってね!!」


カーリーは机に向かっていた体を動かし、アウロンに笑顔で言ってきた。
彼女の笑みにアウロンは微笑み小さく頷く。
そしてすぐに部屋から出、自分のD−ホイールが置かれている地下の駐車場に向かった。






「やっぱり、ここにいたんだな、遊星。」


「ふん。
そしてやはり、カリアも一緒か。」


「まぁな。」


遊星とカリアの前にD−ホイールを止めたジャックとクロウ。
2人はすぐに下り、ヘルメットを外す。
そしてクロウは遊星とカリアの後ろに見えるシティを見渡した。
その時優しい風が吹き、クロウは遊星に尋ねる。


「またあの夢を見たのか?」


「…あぁ。」


「だが、ゼロ・リバースはお前のせいではない。
赤ん坊だったお前に何が出来たというんだ。」


「そうだ。
むしろ俺達はこの手で街を護ったんだぜ。」


「……分かっているさ。」


遊星を気遣うジャックの言葉。
彼らの言葉に遊星は顔を伏せる。
隣にいるカリアは遊星を気遣うように肩を抱き寄せた。
何度も見る悪夢にうなされている遊星の姿は本当に痛々しい。


「よっしゃ、折角4人揃ったんだ!
気分転換にタッグライディング・デュエルでもしようぜ!!」


このような重たい雰囲気が嫌いなクロウ。
彼はすぐに気分を入れ替えるかのような明るい声を出し、3人を見渡す。
クロウの言葉に3人は互いの顔を合わせ。


「まぁ、たまにはよかろう。」


「…面倒だな。
ま、遊星のためなら付き合うよ。
じゃあ俺と遊星がタッグを組むな。」


「はぁ!?
何言ってんだ、カリア!
それはくじ引きで決めるのが普通だろーが!!」


「というより、貴様!
さりげなく遊星の腰に手を回すなぁあああ!!!」


「は?
俺は遊星の恋人だぜ?
恋人に触れて何か悪いのか?
あ……
嫉妬?
男の嫉妬は見苦しいな。」


「貴様ぁあああ!!
何だ、その見下した目は!?」


「見下した目だぜ?」


「(……カリアの奴、最近フィーネに似てきたな。)」


目の前でわいわいと騒ぎ出す彼ら。
そんなカリア達を見ていた遊星はフッ…と笑みを零した。



―ゾクッ…―



「!」


突然感じた視線。
カリアは表情を変えず、遊星達に気づかれないよう目を動かした。
周りを見渡しても何も変わらない風景。
カリアは目を細め先ほど感じた視線を思い出す。
自分達に向けられた誰かの視線。


「カリア?」


「What?」


横から聞こえた声。
すぐにそちらに向くと不思議そうな表情をしている遊星が。
彼は首をかしげカリアを見上げながら尋ねる。


「どうかしたか?」


「ん?
いや、何でもない。」


先ほど感じた視線のことは後回しにしよう。
今は遊星達とのタッグデュエルを楽しもう。
それだけを考えようと決めた。
もう感じられない気配をいつまで気にしていたら埒(らち)が明かないからだ。






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