死神部屋

□TURN5
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「あちゃぁ〜…
来る時間少し間違えちゃったかなぁ。」


「まぁ、レーザだからな。」


「レーザですもの。」


「ふぉぐ、ふぉぐ。」


「テメェラァアアア!!!」


からかうように笑う【死神】達。
綾乃自身も特に焦った様子はなかった。
そんな彼らに姫路は冷たい眼差しを送る。


「…呑気なこと言っている場合…?」


今、彼女達は目の前で行われている事が分かっているのか?
そう疑いながら姫路は会場を見下ろす。
仲間のモンスターによって滅茶苦茶になった会場。
何故こんなことが平気にできるのか、姫路には分からない。
何故?


「…どうするのよ、これ……」


人々の姿はなく、あるのは建物の残骸。
一体何人の人々が残骸の下敷きになっただろう。


「…私達は…
……止めるために来たのでしょう?
…止めてないじゃない…」


「ま、そういう事になるかな。」


あっさり返した綾乃。
そんな彼女の態度に姫路は癇に障った表情となる。
そして文句を言おうとすると、ジムが手で制した。


「……ジム?」


「Stop,姫路。
Youの気持ちは分かるぜ。
だが、それより先にする事があるはずだ。」


ジムは綾乃達と向き合う。


「レーザの能力は時を超える事だったな。
なら、今から事件が起こる前のこの場所に行くことも可能のはずだ。」


「えぇ、出来るわ。
でも、ちょっと不安要素がねぇ。」


綾乃は少し困ったような表情でレーザを見る。
見られた彼は面目ない、とでも言いたそうだ。
そんな仲間に呆れ顔のクロス・ボーンは遊星に声をかける。


「ケケケケ。
しょうがねぇ、不動遊星。」


「何だ?」


「テメェは赤き竜の力を借りて過去に来たんだったな?」


「だからなんだ。」


「レーザじゃ不安だ。
赤き竜の力で俺達を運べ。」


何故お前に命令されなければならない。
そう言いたげな遊星だった。
しかし、クロス・ボーンの言葉には一理あるので静かに頷く。


「そうだわ、遊星君。」


「何でしょうか、アイリスさん?」


「過去に飛ぶのなら、ついでにあの子もお願い。」


下を指さすアイリス。
会場だった場所を覗き込めば、祖父を失い涙を流す青年の姿があった。
彼の姿に姫路達は目を見開いた。


「彼は最強のデュエリスト武藤遊戯。
連れて行った方が良いと思うわよ。」


「分かりました。」


強く頷いた遊星。
すると彼の右腕が赤く輝く。
その輝きに姫路達は目を瞑った。
同時に彼女達の耳にドラゴンの咆哮が入る。


「……え?」


不意に感じた浮遊感。
姫路は目を見開き、そのまま床に尻餅をつく。


「イタッ!!」


「Ouch!」


「いったぁあああ!!!」


次々と聞こえるジムと綾乃の声。
どうやら彼等も床に衝突したのだろう。
痛むお尻をさすっていると遊星が慌てた表情で姫路達に近寄ってきた。


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