過去拍手

□過去拍手X
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「春、だねぇ…」


爽やかな風、暖かい日差し。八分咲の桜と…


「そうですね。」


色素の薄い髪、ラフなジャケット。
現代人じゃない口調に、優しい笑顔。


「それで、どう?桜。ずっと見たかったって言ってたから。」


「綺麗、です。でも、何だか寂しい気分になりますね。」


貴方の悲しい横顔が、淡い桃色の桜とあって、桜の精霊かと一瞬頭をよぎる…。

それはそれであってるから怖い。


「バジル君。」


「何ですか?」


見上げてたきめ細かい肌がこっちを向いた。


「手、繋いでもいい?」


きょとんと、目を丸くしたバジル君が、嫌かな?て首を傾げる私を見て、にこっと笑った。


「気づかなくてすみません。拙者、疎いと親方様によく言われるんです。」


ここで、親方様、と言うのは沢田君のお父さんだそうでバジル君は親方様の話をする時とても嬉しそうだ。


「いいんだよ//私の、わがままだから。」


ぎゅぅっ。て。

華奢なのに力強い手が私の手を握りしめる。

そこにまた、桜の花弁がはらはら舞った。

ドキドキして、お花見どころじゃない。

チラッとバジル君を見たら、今度は目があってしまった。

すぐに桜の木に目をそらしたけどバジル君は見逃してくれない。

(どうしよう。私今、顔真っ赤…だ////)

(あまりに紅いとどうすれば…)

バジルは、すぐ横で顔を紅くし、目を伏せた可愛らしい人に困った。

気の利いたことを何一つ言えない自分に、照れている、彼女を…。

悩んでいると、


「バジル君?」


あぁ。本当に、自分は馬鹿だ。

心配そうな顔をしている。


「すみません…。」


謝るとばつが悪そうにさらに悲しそうな顔がこちらをみつめる。


(久しぶりに二人で出掛けたと言うのに拙者は!!)


不甲斐なさがせつせつと。


「どうかしたの?具合悪い?きゃっ!?////」


「少し、このままで居させて下さい。」


力を込めて、また、照れる彼女を抱きしめて、自分でも呆れるくらい微笑んだ。


「バジル君…//えっと…。」


愛しい。愛しい。驚いて僅かに震えるその肩も、どもる声も、全て。


「好きです、拙者は貴女が好きです…////」


改めて感じられたこと。何にも代えられない。君という存在。


「わ…私もバジル君が好きだよ////」


いきなりどうしたの?というから、相当予想外だったらしい。


「思ったことを言っただけですが…?」


(…バジル君て天然でタラシだ…///)


こんな二人を見守るように傍らで桜が舞う。



優しい色に包まれて
そっと微笑む
優しい光に包まれて
幸せになるの
優しい貴方
側にいるだけで幸せ


鮮やかな色
君が居るだけで
風景が違うように見える
艶やかな姿
君が在るだけで
全てが違うように見える
僕だけの君
君だけの僕








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