過去拍手

□過去拍手W
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怖い…怖い、夢を見たの。

どんな夢を見たのかは忘れたけれど…恐怖だけが残る夢を。


「だから俺の所に来たってワケか」

「うん…。駄目?γ」


ビリヤードをしながら私の話を聞いてくれる。

それだけでも嬉しいの。


「いいや、嬉しいね」


見事に一回で終わらす。

何時見ても凄いな、としか思えない。


「何で嬉しいの?」


椅子に座っている私の隣に腰を降ろしてウイスキーを飲む。


「当たり前だろ。好きな女に頼られてるんだからな」

「………どうせ私だけじゃないでしょ」


知ってるんだから、私。

γが、他の女の人とも付き合いがあるってこと。


「お、分かってんじゃねぇか」

「……まぁね」


これでも腐れ縁なんだから。


「なら、γお兄さんが今日は一緒に添い寝してやるよ」

「いい年して、何言ってんだか」


お互いに笑い合う、この一時。

それだけで私は、怖い夢の事を忘れる事が出来る。


「γー…」

「ん、どうした?」


きっと変わらない、この関係。

それで充分。


「好きだよ。そして、ありがとう」


さっきの言葉にありがとうを言う。

ありがとうって言い慣れてないから、恥ずかしくて…。

だから、照れ隠しに小さく小さく言う。

それでいても聞こえていたらしくて………。


「どういたしまして」


小さく笑いながら頭を撫でてくれる。


「聞こえてなくて、よかったのに…」

「ほー、なら今日は一人で寝るのか。それは偉いなー」

「えっ!?さっき一緒に添い寝って…!!」


意地悪なγの言葉に焦れば、ニヤリと笑って悪戯っ子の様な顔をする。


「嘘、だ。γお兄さんをなめるんじゃないぞ?」

「…もう、焦ったじゃないのー!!」


ぽかすかぽかすか殴る。

笑って全部受け流されたけど、悔しくは無いの。

だって…腐れ縁のγは、私のお兄ちゃんみたいなものだから。

だから、だから…。


「こんな毎日だといいね!」

「俺は勘弁…」


痛い…と言いつつ、さして痛がっているそぶりを見せない。

全く…γの奴め……全部受け流したくせに。

でも、さっき私が言った事は本音。

怖い事があっても私はγがいれば平気なのさ!!







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