!恋人ごっこ
□おれの世界
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― ガウン ―
今度は俺のじゃない銃声が響いた。
それと同時に、
脇腹に一瞬の激痛が走り、
鈍く痛みだした。
「 っ、」
ザッと人の間に道が出来る。
その先で、黒髪に赤い目の男が
無表情のまま銃口を向けていた。
そして流れるように近付いてくる。
「寺橋家の息子だろ、君」
「……誰だお前」
「ふふふ、君の家に潰された
会社の社長の息子だよ。」
にやり、と口元が歪む。
傷口を押さえてた手を放して、
自分の血がついた掌を見つめた。
「ふっ、寺橋家を標的にするって聞いてこの組に入ったんだ。君を潰すためにね。
寺橋家の息子の話はごく僅かだが耳に入って来た事があるんだ。ただ、噂では金髪に金目だってきいたんだけど…黒髪で黒目だったとは。驚いたよ。」
「…よくもまあそんなにペラペラと口が動くね。」