!恋人ごっこ

□おれの世界
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父さんが頼んできたのは
ひとつの集団を潰してほしい
って事だった。


いつもこう言う系統は
滅多に頼んでこないから
大分追い込まれてるらしい

父さんは相当強いし、
てこずる位の相手なのかは知んねぇ
頭の使い方が狡いのかね


「なんか…ややこいなあ」


契約をするために、
相手とあって話し合う
と呼び寄せている。
そう言っていた。

つまり…騙している
全員が必要、と嘘を吐いて

罪悪感なんか感じない
だってそれ相応な事してんでしょ
そんなん、自業自得だっつの


契約する場所について、
顔が見えないように
黒いハットを深くかぶった。

ガラリ、と重いドアを開けると
煙草の煙が上がっていて
おれを見つけて煙草を消した


「…どうも、寺橋です」

『これはこれは…今回は契約して下さり、誠に光栄ですな!』


名前を言いつつ近付くと
ガハハ、と口を大きく開けて笑う。
うえ、嫌な笑い方…

あぁ、おかけになって
とにやにや笑う。
素直に座ると、
気持ち悪い位の笑顔を浮かべて
契約の内容が書かれた紙を渡された


『契約の内容はこれでよろしいでしょうか?』



「少し確認させてください」


それに目を通す。
内容は、こいつの企業の利益に
なる物ばかりで
おれらには何のメリットもない
事だけが書かれていた。

うわ、横暴極まりないわ、これ。


『どうでしょう?
当然、同意して「もし、」』

「しない…と言ったら?」


暫く沈黙した後、
今までに無い位嫌らしく笑った。


『忘れましたか?
私どもは貴方達の公にできない所をたくさん知っている…と』


あぁ、なるほど
父さんのやつ、こいつらは
チェックしてなかったな。

そんで、探られるだけ
探られたんだろうね。
あの人見掛けによらず馬鹿だから。


『もちろん、してくれますよね?』


確信付いた言葉で、問い掛けられる
ならばこちらも、
確信付いた言葉で返そうか


「当然、」


ならば、と声を出した彼の声を、
ビリリ、と気持ちの良い程の
紙を裂く音が遮った。


「する訳ないでしょうが、こんなもの」


はらはら、契約書だったものが
床に落ちていく。

そいつは信じられないような顔で
おれをみて、




 笑った。





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