!恋人ごっこ

□おれの世界
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自分が居る世界を
憎んだのは久しぶりだった




おれの世界      
   ―君を守る方法―




おれが住んでる世界は
幸せで、楽しい、
ごく普通な高校生活。

― 表は、ね  


『章様、よろしいでしょうか』


自室で学校の宿題をしてたら
少し柄の悪い男が
膝を立てて戸を開けた。


「…なんだよーおれ今取り込み中だって」

『御意。しかし光様が…』


その口から出た言葉は
決して逆らう事のできない文で

申し訳なさそうに瞳が揺らぐ。


「…父さん直々の申し出ですか」


溜め息を吐いて
そいつの入ってきた戸に向かう。


「下がっていーよー。…後で、行くから」


戸を閉めてスーツに手を伸した。
俺がやってる事は決して
いい事じゃない。

といっても、悪い事ではないらしい



おれの家、寺橋家は
誰もが知っているような
大きい企業で会社がある。


でも大きければ大きいほど
表沙汰じゃ支えきれない
問題が出てくるんだよね。

それを解決するために、
それ専門の仕事ができた。



それはすっごく危ない事で
ひとつの集団でやるのは危ないし
バレる危険性が高かった


バレないように、最も効率よく
この企業を運営していく
そのために思いつかられたのが

裏の世界

それ専門の集団をつくって
陰でこっそり消化してしまおう
そう考えられたんだ

その集団を作るには
口外しない者がいいでしょ
だから必然的に
身内の中から選ばれる訳で。

それがおれの親族なんだ
将来的におれが裏で
やってかないとなんだよね

だからおれは、小さい頃から
格闘やら受身やらを教えられた。

銃の打ち方とか喧嘩の仕方もね。
だから結構強いよかっこわらい


逆に、勇は表企業の親族で
企業の事やら書類の見方やらを
小さい頃から学んでた。
勇はそっちを継がないと
駄目なんだよ。


つまり…おれらは
裏と表で繋がってる

だから、普通のいとこではないみたい





仕上げにネクタイを締めて
机の中から今日の相棒を取り出した

それは光を反射して怪しく光る


「んじゃ…行きますか」


独り言のように呟いて部屋を出た





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