小説『導かれる決闘者』

□第1話『孤高のデュエリスト』
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今から六年前

遊斗の父親、遊摩が失踪した3月21日の夜

この日は激しい大雨が降っていた…


遊斗「お母さん、お父さんまだ帰ってこないね」


母「そうね…もう帰ってきてもいい時間なんだけど」


時刻は午後9時
父親がいつも帰ってくる6時をゆうに超えていた


母「今日は遅いから遊斗はもう寝なさい。少ししたらきっとお父さん、帰ってくるから」

遊斗「…うん。わかったよ。おやすみなさい」


遊斗は不安を抱きながらも静かに眠りについた…













翌日。
朝になっても父親は帰って来なかった


明るい父親のいない暗い朝食…


遊斗「お父さん…帰って来なかったね」


母「仕事が忙しくて帰ってこれないのよ…きっと。
さ!食べ終わったら早く学校に行きなさい。遅刻しちゃうわよ」


遊斗「うん……」

寂しい表情を浮かべながら遊斗は家を出て行った














学校から帰ると母から父親から電話があったと伝えられた


母「お父さん、仕事が忙しいらしくてね、当分の間帰れないみたいなの。
でも遊斗は強い子だから父さんがいなくても大丈夫だろうって。だから元気出して」


内心寂しい気持ちでたまらない遊斗だったが
明るく振る舞う母を見て、遊斗はその気持ちを押し殺した


それだけ父親の存在は大きかった…
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