お話の部屋U

□せんせーとてんちょー
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ある日の放課後。
のぞみの携帯電話に保存されていた写真が、クラスメイトに偶然見られてしまった。

「あれ、夢原さん……この写真って小々田先生よね?」
「先生、写真はダメって言ってるのにぃ。いつ撮ったのぉ?」
困ったことに、そのクラスメイトは“小々田先生の熱心なファン”に分類されるタイプで――必然的にのぞみは追及されるはめになってしまう。
「えぇ〜〜っと、この前の日曜日……かな?」
「日曜に先生と会えたの?!」
クラスメイト達は口々に騒ぎながら、のぞみの手の中にある小さな画面を食い入るように覗き込む。
「ねえ、どこで先生と会えたの?」
「あ、ナッツハウスで……」
「それって先生のお友達のやってる店ね」
「先生も店番してるって噂は本当だったんだね〜!」
「あたしが見に行った時は、先生に会えなかったんだよぉ。うらやましぃ」
「夢原さんはお買物に行ったの?」
「そういうわけじゃ……ただ、いつも行ってるから」
「いつも?いつもって 何?!」
――ああっ、しまった。目がコワイ。
「やあ、あっ、そのぉ、りんちゃんの作ったアクセサリーをお店に置いてもらってるから――」
「夏木さん、アクセサリーなんて作るんだぁ」
「結構かわいいんだよ。前に見せてもらったの」
「えー。私も何か作って先生のお友達に見てもらおうかなー。
そしたらさぁ、先生ともお話できるチャンスが……」
「なにそれ、ズッルーイ!!」
ひとり焦るのぞみを尻目に、少女達の笑い声が教室に響く。

いつもなら大親友がそばにいて、こんな場合はすぐに蹴散らしてくれるのだが、あいにく今は部活中。のぞみはりんを待っているのだから、どうやっても助けてはもらえない。
(うう〜〜
かれんさんは生徒会、こまちさんは図書のお仕事。うららは撮影で早退って言ってたし、くるみはもう帰っちゃってるよ〜。
ど、どうしよう……このままだと、私、なんか余計な事までしゃべっちゃいそう……!!)


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