お話の部屋U

□THE DAY BEFORE THE BEGINNING OF SPRING
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【COCO】


「ココ様とナッツ様に鬼役なんてやらせられないわっ!
ちょっとシロップ、あんた鬼よ」
「なんでだよっ!!」
「ははは、ふたりとも無邪気だなぁ」
鬼のお面を手に騒ぐ二人を見てココが笑っていると、隣に座るナッツから豆をぶつけられた。
「いたいよ、ナッツ。鬼は僕じゃなくてシロップだってさ」
しかし、なおも豆をぶつけてくる。
「――ちょっと ナッツ?」
「無邪気なら鬼はシロップでは無いだろう。その点、お前は邪気に満ちていて、立派に鬼だ」
「はい?」
「読んだぞ。
鬼とは、異形で大柄な怪力の日本古来の怪物を指すが、人の心の悪心や邪心も意味するのだと……
お前は、少し 心の鬼を追い出した方がいい」
「…………」
――ナッツ、怒ってるの?もしかして、この前、泣かせ過ぎたから?つまり、ナッツのいう邪心って……なんて聞けない雰囲気にココは口をつぐんだ。
スラスラと喋りながら豆を手にするナッツと、便乗してぶつけてくるシロップ。それを慌てて止めるくるみ。


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