お話の部屋U

□THE DAY BEFORE THE BEGINNING OF SPRING
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【GIRLS】

「やっぱり、ここはかれんさんじゃないですか?
生徒会長として皆の為に――」
「あら、生徒会長として鬼を打ち払う役の方が良くなくて?
それに、怒った感じはりんの方が鬼に近いんじゃないかしら」
「え゛っ?!」
「そうそう。かれんさん、わかってる!
怒ったりんちゃんには、ツノもキバも見えるもんねぇ〜」
「のぞみ!!
そんなこと想像してたのっ?!」
「あ〜〜ん、りんちゃん こわい〜〜」
追いかけるりんと追いかけられるのぞみ。呆れ顔のかれん。

「かれんが鬼役だったら、なんだか物凄い物語性を感じるわ。悲劇のヒロインのような……ロマンチック、アンド、ミステリアス!
ジャパニーズホラー!」
「えっ、そ……そう?」
うっとりと別世界へ旅立ちそうなこまちと、何故か頬を染めるかれん。

「怒った迫力でいえば、こまちさんも静かなパワーを感じさせてくれますよね」
「うふふっ。
でも、より鬼らしい演技力が必要だから、うららの方が適役かもしれないわ」
「そうでしょうか」
にこにこと微笑み合うこまちとうらら。

「わたし、演技の幅が広がるでしょうか?」
「うらら……なんか間違ってない?
女優志望とはいえ、現役アイドルなんだから」
「ツインテールの弾ける鬼って、新しいねぇ」
「のぞみも間違ってる!」
すかさず突っ込むりん。

「ちょっと、みんな 真面目に!特に、のぞみは静かにするっ!」
「うわ。
くるみの怒った顔、コワ〜イ」
「本当ですね」
「あらぁ」
「ちょっ……ちがっ、違うわ!
私は怒ってるんじゃなくて!
叱ってるのよっ!!」

‐‐‐‐‐


「なに話してんだ?」
配達を終えたシロップがナッツハウスに戻ってきた。
「節分の鬼役よ。
誰がやるかでもめてるの」
「もめてる?」
紅茶の準備をするくるみの言葉に、シロップは首を傾げた。
一見すると、いくぶんズレた方向に盛り上がって、妙に楽しそうに見えるが。
「複雑な乙女心よ」
「ふーーん?」
よくわかんねぇな。
シロップはおやつに手を伸ばした。





――なかなか決まらない。決まらない!
_
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