Euthanasie.

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この世界に来てから早2週間。
精神的にも落ち着いてきました。
あくびと共に、黄色の布団からもぞもぞと抜け出すと床が異様に冷たかった。
一気に眠気が覚める。

「ああ、ピーブズか。死ねばいいのに」

おっとつい本音がポロリ。
濡れそぼった床を見つめ、溜息をついた。
恐らく、屋敷しもべが掃除した後をねらってやってきたんだろう。
以前、制服を濡らされてからというものの、夏休みだというのにここにいる私を悪戯の標的に決めたらしい。
そんな迷惑極まりない人物が、実はゴーストだと知ったのはつい最近。
ゴーストが相手ではこの悪戯を食い止めるのは無理だと、鼻から諦めている。
学校から支給されたお古の杖(正直、私には合っていない)をポケットから取り出す。
適当に呪文を唱えると半乾きになったので、妥協をしながら制服に着替えた。
あと10日で新学期が始まる。
学力面では多分大丈夫だ。
たぶん。
正直飛行術は新学期前に受講したかった。
飛行は人類の夢だしね。
キキやジジに憧れた時代もあったさ。


「メリーポピンズになーりたいおー」

あ、あれは傘か。
伸びをしながら、上空からファンタジックに毎回登場する映画の人物を夢見る。
重力無視の屁理屈皆無の世界。
あー、あこがれる。
スネイプ先生の幸せお料理教室☆みたいな魔法薬も十分いいけどね。
実際はおどろおどろしい材料を刻んでるけど。
新しいものに憧れるよ。



「さて、今日もがんばりますか」

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