Euthanasie.
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「ポリジュースの効果は?」
「服用から1時間、変身したい人物と同じ外見になるが、人以外の使用は不可」
「縮み薬の材料は?」
「雛菊の根、ヒルの汁、死んだ芋虫、萎び無花果と......ネズミの脾臓?」
「北欧のバイキングの間で死の象徴とされた生ける屍の水薬の材料「ニガヨモギ!」
「....最後だ。
混合毒薬における法則の名と規範は?」
「...えっと、ズバットの進化系ぽい..」
「3、2、」
「え、ちょゴルパロットの第三の法則!
......っこ、混合毒薬の解毒剤の量は各毒の成分の総和よりも大きい....たぶん」
「.......。」
「.....?」
「............正解」
「そんな嫌そうな顔して言わないで!」
スネイプ先生の研究室に来てからかれこれ1時間が経とうとしていた。
先生の口答で出される質問(計150題)に先程まで喉の渇きも忘れひたすら答えていた。
結果、全問正解。
全 問 正 解 。(大事なことなので)
自分でもがんばったと思うよ。
受験前日にカラオケ行ってた自分が土下座しながらお祝いしてきそうだ。
睡眠不足でくらくらの体調も忘れて、満面の笑みで向かいの先生を見上げた。
どーだ、まいったか!
「全問正解。
私、がんばりましたよー」
「......。」
「全問正解!!」
「喧しい!」
「あははうふふー」
達成感と睡眠不足でテンションが可笑しいのを自覚しながらも特に止めなかった。
止める気力もないのかも。
机にナメクジのように突っ伏したまま、指一本として動かす気にならない。
ふにゃふにゃのへろへろ。
水分たっぷりの紙のような気分。
「じゃあ、約束は守ってもらいますよ?」
「......ふん」
「あ、時間は毎日午後でいいですか?」
「......ふn..毎日だと!?」
「マクゴナガル先生から頂いた時間割、午後はいつも空いてるんですよー。
これはもう運命とか逆らえない何か因果的でルパン的な計画的犯行ですよねー」
「自分でも何を言ってるか理解できない時は発言するな、鬱陶しい」
「ありがとうございますー」
雲の上を歩いているみたいな、ゆらゆらした浮遊感をぼんやりと感じながら、全然舌の回らなくなった口調で返答する。
いやだなぁ、先生そんなに褒めないでー。
「寝るなら余所で寝てろ」
「わーい....あれ?」
ぐわっと体が浮いたかと思った次の瞬間には体は研究室から追い出されていた。
慌てて手をついた箇所からひんやりとした床の冷たさを覚えて、急いで立ち上がる。
しまった追い出された!
「スネイプ先生、
明日の午後からよろしくお願いします」
果たして届いたのか分からない。
それでも満足した私は、ふらふらの足取りで愛しの黄色い部屋へと向かった。