Euthanasie.

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復活祭の休みの日、憎いほど天候に恵まれていた。
こういう日は、湖のほとりを散歩して木陰でゆったりと本を読むのが理想的だ。
でも現実、私たちは図書館の隅で机に様々な教科の本を広げていた。
カリカリと羽ペンのおしゃべりだけが、机の中で囁きあっている。
おしゃべりに参加していない羽ペンの持ち主のロンは、先程から恨めしげに窓の向こうを見つめている。


「ちょっとロン、貴方さっきから手が止まっているわよ」

隣りで勉強をするハーマイオニーがすぐさま注意した。
向かいのハリーはぐったりとした表情で魔法薬に取り掛かっている。
私はただひたすら16世紀に発明された、よく分からない魔法用具を頭に叩き込んでいた。
こんなものを発明して、一体誰が得をしたんだか。

「こんな日に外に出ないなんて、罰が当たりそうだよ」

それは同意見だ。
私とハリーが頷く。
目の前の魔法史からどうにか逃げ出したかった。

「ちょっとリリーまで!
試験は二年生の進級が懸かっているのよ?」

「だって魔法史ってさ、水っぽいコーヒー飲んでる気分になるよ」

歴史関係を覚えるのは得意だけど、一本調子で話すピンズ先生の授業は恐ろしくつまらなくて、正直嫌いだった。
たまに、ピンズ先生は本当に魔法史が好きなのか疑いたくなる。

「でもなんだかんだ言って、君はちゃんと勉強しているじゃないか」

「試験のために勉強するのと、自分のために勉強するのとだと、随分と価値が違うけどね」

「自分のための勉強だなんて、僕は一生やらなさそうだけどな」

溜息を吐いてうんざりとした声で言うロンが、とうとうノートを閉じた。
ハーマイオニーがぎろりと睨むのも、効果はない。
するとハリーが、「魔法薬調合法」の教科書を開きながら聞いてきた。

「リリー、ハナハッカってどこに載ってるか知ってる?」

それか、ノートを見せてくれない?と言われて、隣りのハーマイオニーがすぐに口を開いた。

「ハリー、ハナハッカは「薬草ときのこ千種」の方に載っているわ」

ハーマイオニーの言うとおりだ。
おまけで私も一言付け加えた。

「ちなみに87ページの3行目」

「うぇ、君ってそこまで覚えてるの」

ロンがぞっとした顔で聞いてきた。
三日で完全暗記したと知ったら、きっと椅子から転げ落ちるだろうな。しかも増刷版。

「なんなら内容まで言おうか?」

「ここにハーマイオニーが二人いるよ」

「私だってそこまで覚えてないわ」

本物のハーマイオニーが苦笑する。
さっきまでピリピリしていた空気がすっかり穏やかになっていた。
すると、へらへらと笑っていたロンの表情が、瞬間驚いたように切り替わる。


「ハグリッド!図書館で何してるんだい?」

彼の一言に、私達は一斉に顔を上げた。

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