Euthanasie.

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「ああ、リリーどうしよう」

彼女があまりに悲痛な声を挙げるから、何事かと本から顔を上げる。
ベットに寝そべっていた体を起こして、本を閉じると(ちなみにマグル学だ)彼女の元へと駆け寄った。

当のハーマイオニーは、ここまでを駆けてきたようで、いつも神経質に気にしている髪を無造作に広げている。
上気した肩が、がっくりと下がっていった。

「どうしたの、ハーマイオニー?」

出来るだけ優しく声をかけてみると、彼女は戸惑う視線を私へと定める。

「今週の木曜日に飛行術があるの」

「あらら急だね」

今日は月曜だから、5日もない。
飛行術は私も実際に受けたことがないから予想ができないけど、どうやら随分と難しい授業なのかもしれない。

「そうなのよ!
今日を入れてあと4日よ?
マクゴナガル先生は、もう少し早くにお知らせしてくれればよかったのに....!」

どうしよう、と困惑しきった彼女を落ち着かせるために、とりあえず椅子を出して座らせる。

「えーと、私飛行術をよく知らないんだけど、何か問題でもあるの?」

すると彼女が弾かれたように立ち上がる。

「私もよく知らないのよ!
だから心配なの!
こうしてはいられないわ、ほらリリー!
立って、図書館に行くわよ!」

どうやら椅子に座らせても効果はなかったみたいで、ものの2秒で彼女はまた立ち上がってしまった。
それどころか図書館に行くらしい。

「え、なんで?」

「木曜までに飛行術について勉強するのよ!」

当然のように言う彼女に目を丸くしてしまう。
飛行術は、マグルで言うならば体育だ。
彼女は跳び箱の授業のたびに、跳び箱についての知識を吸収してから跳ぶのだろうか。
ありえそうだから考えないようにした。

引き摺られるように、寮から出て行く。
途中の談話室で、双子に拉致だ誘拐だ!と喚かれたけど、杖から火花を出して黙らせる。
うお!とか十万ボ●トだ、とか余計に騒がしくなった気がするけど。

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