Euthanasie.
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「グリフィンドール!!」
長い長い組み分けからやっと解放された、と思った瞬間には双子に掴まっていた。
そういえばこの2人もグリフィンドールか。
賑やかな先輩たちをもってしまった、と内心困ったと思うわりに顔はニヤけてたと思う。
両手を引かれて席に着けば、隣の席に座っていたハーマイオニーがそれはそれは嬉しそうに歓迎してくれた。
よろしくね、と言えば彼女ははにかんで、こちらこそよろしくと返してきた。
「ねえリリー!」
「俺たちに」
「「よろしくは?」」
キャンディをねだるガキか。
思わず呆れてしまったけど、ハーマイオニーと同じように言ってあげれば、同じように嬉しそうに笑ってくれた。
「こちらこそ」
「よろしくな」
「「リリー!!」」
その言葉が思ってたより嬉しかったなんて、言ってやらない。
ただふわふわと笑っていた。
「ハリー、ロンもよろしくね」
黙々と料理に手をつけるロンと、その隣りで先輩と話しているハリーにも声をかける。
もごもごとロンが返してくれた。
ハリーもよろしくね、と言ってくれた。
電車内での会話は冗談であってほしい。
「あ、君サンドイッチの子だ」
ロンの奥に座っている生徒が私を指さして、驚いたように声を響かせた。
すると、周りにいた生徒(寮関係なく、だ)があぁ!と私を見て思い出したように言った。
「君のサンドイッチおいしかったよ」
「探してたカエルって、もしかして具材?」
次々に言うものだから、私は目の前の食事に有り付けたのは大分後だった。
それでも、おいしいという声をもらったのはなんだかぽかぽかと温かかった。
* * * * * * * *
「今日は疲れたねー」
ばふ、と弾力のある音を立ててベットに倒れれば、ええ。と返事が返ってきた。
「リリーと会ってからすごく疲れたわ」
「あらひどい」
振り返ってみればハーマイオニーは、そんなこと微塵も思ってなさそうに笑っている。
彼女がとてもいい子なのは今日会ってすぐに分かったし、そんなこと思ってないのは理解してたから私も別段戸惑わなかった。
「楽しかったから、疲れたわ」
「これからもっと疲れるよ」
にひひ、と目を細めて笑えば、予定があるのね。と呆れたように返される。
予定は未定。ただ確信だけあるよ。
「よろしくね、リリー」
「よろしく、ハーマイオニー」
そのあとはおやすみを言う前に、夢の世界に引きづり込まれてしまった。
懐かしい黄色の部屋ではなかったけど。
それでも懐かしい家の匂いにホッとして、その夜はぐっすりと眠れた。