Euthanasie.

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きっかけなんて、なんとなくだよ。


がしゃん、と汽車が完全に止まると、ようやくといった感じで生徒達を吐き出した。
8月の生ぬるい風が通り抜ける。
久しぶりの外は既に暗くて、昼の時間だけぽっかりと抜けていた。
汽車移動は短いようで長かったみたい。
私は見た目は馴染みのローブの新品の肌触りを楽しんでいた。


「おーいイッチ年生!」

汽車の汽笛の音よりも大きな声が街灯の下から地鳴りのように響く。
山のように大柄なハグリットだ。
もじゃもじゃ頭に小鳥が乗ってそう。

すると、ハリーが彼の元へ駆け寄る。
知り合いなのか、ハグリットは満面の笑みでハリーの頭を撫でていた。
小枝のようなハリーが折れんばかりにぐらぐらと揺れている。

「リリー!あの人すっごく大きいわ」

「うんうん、見て分かるよ。
ふくれ薬を全身に浴びたのかな?」

「そんなわけないでしょ。
きっと巨人族よ!」

本で読んだことがあるの。
とおきまりの言葉で説明し始めた彼女を微笑ましい目で見つめる。
説明してる時の生き生きとした表情がなんだかとってもかわいい。
うんうんそうだね、へぇすごいねぇ。

「ちょっとリリー、聞いてるの?」

「へえ、すごいねぇ」

「リリー!」

聞いてないのがバレたのか、ぎぅ、と頬を引っ張られて怒られる。
どうやら、私へのおしおきはこの形に定着してしまったらしい。
赤くなった頬を摩りながら案内をするハグリットへ着いていった。


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