Euthanasie.

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「おはようございますマクゴナガル先生」

「おはようございますリリーベル。
今日の午後からスネイプ先生の授業があるそうですが、大丈夫ですか?」

顔色がよくありませんよ、と鋭い瞳を更に細めて本質を捉えようと私を見てきた。
確かに酷い顔だろう。
あの後、何度か努力したものの結局一睡もできないまま朝を迎えてしまった。
やっと連続徹夜しなくていいと思った矢先、本当にツイてない話だと思う。
ただの自業自得。


「疲れすぎて、逆に眠れなくて。
授業に差し支えないように頑張ります」

「自己管理も授業の一環ですからね。
ですが、本当に辛くなったのなら遠慮せずに私たちにおっしゃって下さい」

僅かに厳格な雰囲気を崩して微笑んだ先生にこちらも精一杯笑い返した。
数日だけれども、マクゴナガル先生の性格の骨組みが分かってきた。
規律や校則への真摯な態度と、時に見せる酷く暖かな彼女の生徒への確かな感情。
でしゃばらない感情が先生らしい。

「先に教室へ行って準備をしておきます。
.....おや、リリーベル?
一体その制服はどうしたのです?」

朝食の席を立った先生が、左胸の蛇を象徴としたエンブレムを見て質問した。
少し驚いている。
そんな大したことなのだろうか?

「屋敷しもべ妖精さんから聞くからには、今日はピーブズという人にいたずらされていつもの制服が間に合わなかったそうです」

いつも一人の部屋に今日だけは小人のような不思議な生き物がいて物凄く驚いた。
妖精と呼ぶにふさわしい、可愛らしい容姿にびっくりしたのを覚えている。
でも、いつの間に現れたのだろう。
しかも目があった瞬間に土下座。
結構エキサイティングな朝だった。

「ああ、ピーブズですか....。
私からもきつく言っておきます」

「いたずら好きみたいですね、その人」

「ええ。困り果ててます」

正直私はいたずらといった類が好きだ。
深刻な表情の先生を横目に笑ってしまう。
私がこの学校に入学したら先生は私に対してこんな表情をする日が来るだろう。
心の中で合掌して、相変わらず慣れない味のオートミールを胃に流し込んだ。
嗚呼、故郷の料理が恋しい。

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