Novel
□愛.愛.傘
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ザー………ザー……
「まさか降るなんて…」
今日は天気予報でも晴れと言っていたし、朝は雲一つ無いくらい良い天気だったのに学校を帰ろうとした時には、もうどしゃ降り。
帝人は傘を忘れ、学校でいつ止むか分からない雨が晴れるのを待つ。本当は走って家に帰ればいいのだが、１人暮らしの事もあって風邪を引くと後で色々と面倒くさくなるため、帝人は仕方なく学校で雨宿りをする事にした。
「本当、ついてないなぁ…」
誰もいない学校で独り言をポツリと言っていると、遠くから見覚えのあるシルエットが帝人に近づいてくるのに気が付く。
「こんにちは、帝人君」
「………え？…い、臨也さん？」
相変わらずのニコニコ顔で近づいてきたのは紛れもなく新宿で有名な折原臨也だった。
「仕事ですか？」
「違うよ。帝人君を迎えに来たんだ」
「……僕、ですか？」
「そう。きっと傘が無くって困ってるんじゃないかなぁって」
「どうして…？」
「勘…かな？それより帰ろうよ。ほら、傘に入って」
そう言って、臨也は自分のさしている黒い傘に帝人を招き入れる。
「あの、ありがとうございます」
「どういたしまして」
顔を上げてお礼を言うと、思った以上に２人の間の距離が近く帝人は臨也と目があった瞬間、思わず目を反らす。
臨也は帝人の行動を不思議に思い首を傾げたが、何となく楽しそうな表情にも見えた気がした。
「どうかした？」
「い、いえ！何でもないです！」
「……ｸｽ、おかしな帝人君」
帝人は、自分でも顔が赤くなる感覚を感じて肩に掛かっていたカバンの紐を強く握り、下を向きながら帰り道を歩く。
その時ふと気付く。
（あ……
今、僕と臨也さんて
相合傘…して、る……？）
ザー……ザー………
雨が降っていて、寒いはずなのに帝人は自分の顔が更に火照るのを感じた。
END.
愛.愛.傘
(………もう…)
(何、意識してんだ自分っ！)
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