Novel

□Show me it.
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Receive my anger
僕の怒りを受け取ってよ
Do not leave me
僕を置いて行かないで
I am fierce……
怖いよ……







青葉くんは僕の駒になると言って、ボールペンで刺された手を愛しそうに優しく撫でる。


「何で…そんなに僕に関わるの」

何時だって、少し笑って僕に決まった答えを同じように返すだけ。


「貴方の創る世界が見たいから」


機械のように、青葉くんの声は同じ事しか言葉を紡ごうとはしなかった。


僕は日常に嫌気が差していた。
だから人一倍、非日常に憧れと期待を求めていた。だが、それ故に沢山の物が僕の側から離れて行く。何を信じていいのかも分からない。例え、自分だとしても…。



「先輩が望むのなら、僕は何だってします。愛していますから」




ニコリと笑う。
その笑顔を見ると自分の背筋にゾクリと嫌な寒気が走るのがわかった。



(あぁ……もう、戻れない)



そう思い知らされているような気がしたから。

僕はダラーズを元に戻すため、幼なじみと約束した事を破ってしまったんだ。
自分自身の意志で、決して引き返せない一本道に足を踏み入れた。


「……行こうか」
「はい、先輩」


夕焼けが今日はオレンジ色と言うよりも赤い光を放っているように僕の目には映り込む。


「今日もダラーズと名乗って、喧嘩騒ぎがあったみたいです。しかも一般人に負傷者が出たとか………消しますか?」
「……うん。その人達には悪いけどダラーズにはいらないよ」
「はい。分かりました」



いつもの帰り道なのに、その道の先がまるで闇に続くような気がした。











「僕をもっと求めて………」










「…?青葉くん、何か言った?」
「いいえ。早く暗くなる前に帰りましょ?」
「…うん。そうだね」



僕に青葉くんの言った言葉は届かず、暮れはじめた空へと消えてゆく。




END.


Show me it.
―――僕に見せて

(貴方の望む世界なら)
(僕は、)
(その中で生きて行きたい)


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