Novel

□今頃気付いたって、もう手遅れ
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手を見たら赤色に染まったナイフ。足元にはさっきまで話をしていた少年。


君はもう、動かない。









いつものように君に会いにいった。そしたら楽しそうに笑って、ふざけながら帰り道を歩く姿を目撃。


何で君は笑ってるの?


人間だから笑う事なんて日常茶飯事の事なのに、その時の俺はそれすら考えられない程のまがまがしい感情で支配されていた。


「……俺だけを見てくれればいいのに」



だから、あんな事をしたのかな。









気付いた時には自分の周囲には血が飛び散っていて、足元には血に染まって動かなくなった君がいた。



「やっと、俺だけの物になってくれた!」


嬉しい、嬉しい!

すっかり冷たくなってしまった君を抱き締めると嬉しくて笑いが込み上げてくる。


「あはは!これからはずっと一緒だね、帝人君!」



………ポロリ
笑っていると、何かが頬を流れた。手で拭うと水が付いていた。


「………雨?」



おかしいね、こんなに晴れてるのに。と俺は少し笑って君に言う。まぁ、返事が返ってくる訳でもないけど…。





少ししてから、俺は愛しい亡骸を抱えてその場を去った。




…その時雨水だと思っていた水は雨なんかじゃなく、自分自身から溢れるものだったと気付かないまま…。


俺の心の何処かで生まれた、痛くて苦しい喪失感に気付こうとしないまま……。






「…………大好き」



愛を囁くと、またポツリと雫が君の頬に落ちていった。




END.


頃気付いたってもう、手遅れ

(何でかな?)
(せっかく君が手に入ったのに)
(今、息が出来ない程苦しいよ)


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