Novel
□Kiss me!
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「キスって、どんなですか?」
「何?したいの?」
「いや、……紀田君が話していたから気になっただけなんですけど……」
本当はそんなの嘘だった。
帝人と臨也が付き合い初めて1ヶ月。未だに展開も無く、ダラダラと時間だけが流れていく2人の関係。臨也は何も言わないけど、帝人が思っていた恋人のイメージとはまるで違うから少し不安になっていた。
やっぱり、臨也さんは僕の事を好きじゃなくって観察対象として付き合ってるのかな…、なんて。
「……帝人君」
「え…、ン」
いつの間にか距離を縮めていた臨也にキスをされて、そのまま押し倒された。初めての事に帝人はパニックになっていると、臨也は一旦唇を離す。
「……鼻で息して」
「は……、」
酸素不足で涙目になっている帝人にまたお構い無しと言うように再びキスをする。さっきよりも深く、さっきよりも長く。
「ふ…ぁ、ン」
帝人は臨也の胸を力の入らなくなっていた手で何回か叩くと、やっと臨也は唇を離した。
「はー、はー…」
涙の溜まった目元に軽くキスを落としていつもの変わらない笑顔で帝人を目に移す。
「好き、帝人君」
「……いざ……、さ」
「絶対に離したりしない。君が俺から離れようとしたときは監禁でもしてずっと側に置くつもりだから、安心してね?」
「……何が、安心して…ですか」
「あれ?違うの?そんな顔してたから俺の愛を伝えたんだよ」
「………」
全てが見透かされていた。
帝人はそれが嫌で、恥ずかしくって、今だに覆い被ったままの臨也の目線から顔を反らす。
……が、それを許さないというように手が顎を掴むとお互いの目が合わさる位置に戻される。
「もう一回キスしたいな」
「………なんで…!」
「したいから、かな?」
帝人は顔を赤くして、あんな話をしなければ良かったと思った。
まぁ、手遅れなんだけど……
「そう言えば、正臣君に言われて気になってたんだよね?」
「…う…」
「キスはどんななのか、だっけ?」
「…えぇ、まぁ……」
「どうだった?俺とのキスは」
帝人は目の前にいるニコニコしながら楽しそうにしてる男を睨みながら言う。
「……甘かった…、です」
END.
Kiss me!
(初めてはレモン味)
(でも、僕の初めては)
(何も考えられなくなるくらい)
(甘ったるい味でした)
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