Novel
□陽だまりのように
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カチャリと目の前に紅茶が置かれる。
「あ。ありがとうございます」
帝人は今日、セルティと新羅の住むマンションに静雄と一緒に訪れていた。まぁ、静雄は帝人に寄り掛かって寝ているのだが。
『グッスリ寝てるな』
「はい。疲れてたみたいですね」
笑ったような仕草をしながらPDAを打つ首無しライダーことセルティ。今日は同居している新羅が仕事でいないため、部屋にはセルティと帝人、そして睡眠中の静雄の三人だけである。
『静雄ってさ、帝人に会ってから変わった気がする』
「え、そうですか?」
『あぁ、角が丸くなったというか、優しくなった。それに人前で寝てる姿なんて見たことなかったしな。帝人のお陰なのかも』
「あはは。大袈裟ですって」
照れたように笑う帝人を見ると、静雄が優しくなった理由が分かるような気がした。
「………、ん…」
「ぁ、静雄さん起きましたか?」
「……おぅ」
「寝癖付いちゃったみたいですね。コッチ向いてください」
「…ん」
寝起きで意識がハッキリしていないのか、静雄は帝人に言われるがまま言う事を聞く。その姿はどこか大きな犬にも見えるのでセルティはない顔で微笑みながら2人を見つめる。
(暖かい…)
人はそれぞれ雰囲気やオーラが違う。セルティはデュラハンだからなのか気配を察知するのは人一倍敏感である。そんなセルティから見ても帝人は優しいと感じた。静雄が帝人に惹かれているのも分かる気がする。
「はい。直りましたよ」
「……ふぁあ…、さんきゅ」
『目覚ましに珈琲でも淹れてこようか?』
「…おう、すまん」
「僕が淹れてきますよ?」
『大丈夫だ。帝人は座っていていいよ』
「そ、そうですか?」
キッチンで珈琲を淹れるためにコップを取り出すと、取り出したコップに光が反射する。その光が射し込む方向を見ると窓から太陽が見えた。
END.
陽だまりのように
(存在しない目を細める)
(この光は、君の笑顔に見えた)
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→あとがき