Novel

□返して!
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「返してください」
「やだ。勿体ない」



何故か今、帝人は服を着ていない。と言うより剥ぎ取られたと言った方が正しい。剥ぎ取った本人が目の前でニコニコしているし、その本人の着ていたコートを一枚羽織っているだけの格好である。


「寒いです」
「なら暖めてあげようか?」
「いかがわしく聞こえますよ」
「そう?期待に答えてもいいよ?ベッドの上で」
「死んでください」


何時ものようにやり取りをしている2人だが、帝人に自分のコートを着せて機嫌の良い臨也は嫌なくらいの笑顔を浮かべていた。本当は顔にパンチを一発食らわしたいと思うが、何とも言えない臨也のオーラに気が引けて行動になかなか出ないでいるのだが…。

(…第一、殺されるかも)


少し考えていると、笑い声が聞こえたので下を向いていた視線を前に戻すと口元に片手を当てながらクスクスと笑いを堪えている臨也がいた。

「な…何ですか」
「帝人君の百面相が面白くってね。襲いたくなっちゃったよ」
「なっ//!?」
「だってその格好だからねぇ」


コートから見え隠れしている鎖骨に指を這わせながら目を細める臨也の表情に、不覚にもゾクリと背筋に何かが走るのを感じた。

「うん。やっぱり襲いたい」
「……うっ…!」


身の危険を感じ後ろに下がろうとした帝人だったがいつの間にか腰にガッチリと腕で固定してあり、身動きがとれなくなっていた。


「シよう?」
「っ!?…変態っ!」


キッと睨んで見たが、それは余計に臨也の心を煽ったらしく抵抗も無駄に終わり、帝人はされるがまま部屋の床に押し倒された。




END.



して!
(あぁーもう!)
(貴方に盗られたモノ)
(全部、返して下さいっ!)


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