Novel

□赤色と煙草
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「運命って、信じますか?」
「……運命?」



色と煙草




ふと思った。
何のためにこんな身体になったのかと…。こんな身体さえなければ普通の生活をして、普通に人を愛する事ができたのではないかと。







「僕は、過去の色んな事があって今の静雄さんがいるんじゃないかなって思うんです。ベタですけど、運命って言うんじゃないかなーって」
「…運命」
「僕は、そう思います」

帝人はニコリと笑う。
高校生の彼は静雄の数少ない繋がりであり、大切な恋人である。たまに静雄の仕事が早く終わる時に帝人と会って他愛ない話をするのが最近の日課になりつつあった。
今日も時間ができたので2人公園のベンチに座って話をしていた。


「運命って気紛れなんですよ。人生全て上手くはいきませんし…。だからこそ、僕は静雄さんに会えました」
「…っ…/////」
「?…静雄さ、ん?……わっ!」

何を思ったのか、突然帝人の頭をワシワシと乱暴に掻き回す。よく頭を掻き回される事はあった。一種の癖だろう。だが、今回されたのはいつもより力が入っていた気がした。疑問に思ってチラリと静雄の表情を見てみると、そこには真っ赤な顔をした静雄がいた。


「……照れてます?」
「照れてねぇー!」
「静雄さん、可愛いです」
「……お前の方が可愛いぞ」


帝人も途中まではからかっていたものの、静雄の最後の言葉には流石に恥ずかしい気持ちになり顔を赤らめた。


「……………大好きですょ」
「…………馬鹿…」
「えへへ」


照れながらも、今は無性に愛の言葉を伝えたいなと思った。最後には静雄が帝人に目隠しをするために片手が視界を遮る。







その手は、いつもより熱く感じた……気がした。








(この時、この時間)
(私は自分の運命に感謝します)



END.
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