Novel

□赤色とナイフ
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「帝人君は運命とか、赤い糸とか信じる方?」
「んー、そうですね。出来れば信じたくないです。特に今僕の指にはまってる赤いヤツとか」




色とナイフ







学校の帰りの事だった。
正臣と一緒に遊んでいたら、いつものように正臣はナンパをしにいってしまい一人取り残された帝人だったが勝手に帰ってしまう訳にもいかず、公園のベンチに座って携帯で時間を潰していた。すると目の前に影が落ち、なんだろうと目線を上げると知り合いが立っていた。


「……あ、」
「何やってんの?帝人君」
「…臨也さんこそ」

何が楽しいのか毎日ニコニコしている新宿の情報屋こと、折原臨也。帝人の中で一番会いたくない人である。

「帝人君に会いに来たんだ。あ、ついでに会いに行く途中にシズちゃんに追われちゃってさぁ。会えないかと思ってヒヤヒヤしたよ」
「できれば、そのまま死んでくれれば良かったんですけど」
「お。今日もツンデレ全開ー」

本音なんだけどなぁ、と密かに心の中に思ってると帝人の座ってるベンチに臨也は座り、小指貸してと突然言う。



「小指……ですか?」
「そ、貸して」
「何するんですか」
「んふふ。お楽しみだよ」


目を閉じて、と言われて渋々目を閉じると鼻歌なんか歌いながら臨也は帝人の小指に何かをはめる。

「いいよ。目、開けて?」
「………なんですか?これ」

自分の小指をみると見馴れない赤い色の細い指輪がはめてあるのが目に入った。

「君は赤い糸を信じる?」
「は?」
「ほら。よく言うでしょ?運命の人達の間には赤い糸で繋がってるってさ」

そう言いながら帝人の赤い指輪をした小指に自分の小指を絡める。俗にいう指切りだ。

「俺は帝人君の間に赤い糸があったらいいなぁって思って」
「…頭が湧いたんですか?」
「酷いなぁ。君が人間の中でも、俺の中でも特別だからさ。君との間にあったのなら信じてみようかなとか思っただけだよ?」
「何かすみません、手遅れでしたね。死んでください」
「んー…帝人が一緒なら考えてもいいよ?むしろ、是非!」
「のわゎっ!」

絡まったままの小指だけで帝人を引き寄せると、簡単に体は臨也の方へと倒れる。さすが毎日静雄さんと喧嘩してるだけあると帝人は思う。


「帝人君は?」
「へ……?」
「帝人君は赤い糸を信gぐぁ!」

何かを言い掛けた時に、変形したガードレールが臨也目がけて一直線に迫り、当たった。そんな事が出来るのは帝人の知るかぎり一人しかいない。

「いーざーやーぁああ!!!」
「…チッ」
「し、静雄さん!?」

相変わらず眉間にシワを寄せて、額には血管が浮き出ている喧嘩人形こと平和島静雄が標識を握り締めて立っていた。

「もー、シズちゃん空気読んでよ。KYだよ?KY!!」
「知るか!さっさと帝人から離れやがれ!ノミ蟲がぁ!!」
「…はぁ……ねぇ、帝人君」
「はい?、…ンぅ…!」
「ふふ…、またね」



何があったのか一瞬わからなかった。急に目の前が暗くなって唇に暖かいモノが当たって……








「……………えぇえ////!?」

キスだと分かり、叫んだ時には臨也は逃げた後。帝人が一時停止している間にいってしまったらしい。ふと静雄が立っていた位置を見てみると、何故か臨也を追わないでコッチを見ながら放心状態になっている静雄が立ったままでいた。

「………殺す」
「え」
「殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺殺っ!!!!!!!」

手に持っていた標識をさらに変形させながら呪いのように同じ言葉を唱えながら、目にも止まらない速さで臨也の消えていった方角へあっという間に姿を消した。あの勢いだと、本当に今日が臨也の命日になるかもしれない。


「本当、何しにきたんだろ…」


公園にポツリと一人。
残されたのは、唇に残るあの人の温もりとモヤモヤした気持ち。



それから、

小指にはめたままの赤い指輪だけ





END.

(好きな人とはずっと、)
(永遠に繋がっていたいでしょ?)

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